第44回越冬闘争
○ 第44回釜ヶ崎越冬闘争への協力要請
今年の秋は大荒れに荒れた気象状況に影響され、暑かったり寒かったりと気温差の激しい体調管理の難しい秋でした。12月に入り凍える冬も目前となり、越冬闘争の時期を迎えることとなりました。
昨年から開始された「有識者懇談会」は西成の各界人々との議論を深め「人を呼び込む街作り」「西成の特徴を生かした街作り」等が議論されてきました。そして平成25年の区予算にも反映されはじめました。しかし、中心となる軸が「医療・福祉」「子育て支援」「治安の改善」「不法投棄の取り締まり」となって肝心な「就労」の問題が後景に押しやられている感じです。構想で言う「短期集中的な対策」(2013年9月)を見ても、「釜ヶ崎と就労」に関する事業は14事業中1事業のみであり、それも「高齢単身者生活保護」条件付けがされているように、野宿・失業者対策という就労にかかわる事業は全く議論されていません。
一方では、生活保護受給者の増大に対して、増大の本当の原因には触れずに、保護費全体の削減を目的とした施策が進められ、申請と同時の就労指導のように極めて機械的に厳しくなり、一旦上がった生活保護からの脱落者を多くつくりだしています。
こうした生活保護の切り下げ、締め付け強化、強引な就労指導は、生活保護者=怠け者、社会悪という意識を植え付け、『自己責任論』で国・自治体一体となった施策を正当化しようとしてます。それは、社会の中に生保受給者や、野宿をせざるを得ない人たちを嫌悪し、攻撃するひとびとを作り出します。『自己責任論』が大手をふるって登場し始めると野宿者への実際の襲撃も増え、わけても若者に反映します。
昨年も10月13日~14日未明にかけてJR大阪駅周辺で、40~80代の野宿生活の男性5人が相次いで襲われ、顔を踏みつけるように蹴り続けられるなどし、富松国春さん(67)が外傷性くも膜下出血で亡くなり、他の人たちもケガを負わされました。
今年も、私たちは越冬闘争で野宿をせざるを得ないなかまたちを餓死・凍死から守り、襲撃から守り、日雇・下層労働者の結束を固めて、施策の変動に翻弄されるなかまたちの未来を切り開いてゆく闘いをしたいと思います。
今年も、米、調味料、毛布、防寒着などの物資のご支援とともに、資金カンパのご協力をお願いします。
また、2013年12月28日から2014年1月7日までの越冬期間中の現場でのご支援もよろしくお願いいたします。
■ 資金で協力
越冬闘争では、毎年70万~80万円の資金が必要となります。現在も、越冬実行委員会では、資金集めに奔走しております。厳しさを増すこの経済状況にあって、心苦しい限りではありますが、釜ヶ崎の運動・取り組みに関心を寄せる多くのみなさまに、資金協力をお願いしたく思います。
釜ヶ崎実行委員会 代表 山田 実
②ゆうちょ銀行 記号141 番号33722521
【他金融機関から振り込みの場合】③ゆうちょ銀行 店番418 普 通預金3372252
④郵便振替口座 00960-4-108331②③④は、名義: 釜ヶ崎実行委員会
■ 物資で協力
越冬闘争では、次のような物資が必要です。みなさまのご協力をお願いいたします。
□ 毎日の炊き出しに使う、米、もち米、お米券、調味料、野菜、その他の食料
□ 寝場所、医療パトロールで使う、布団(敷布団、掛布団)、毛布類、寝袋
□ 冬の寒さをしのぐための、衣類(成人男性用で、防寒着、カイロ、など)
□ その他、石鹸、タオルなどの日常生活用品
第44回釜ヶ崎越冬闘争実行委員会(代表 山田 実)
電話:06-6632-4273
第44回釜ヶ崎越冬闘争実行委員会
○ 第44回釜ヶ崎越冬闘争基調
改憲阻止・戦争への道を止めよう!
この時代を簡潔に言い表すとしたら、極端な政治反動と貧困の深刻化と言うことが出来ると思います。戦後の経済成長が終わり、それを支えてきた「55年体制」と言われた政治体制がくずれさって以降、混沌としてきた政治の世界に「戦後レジーム(=政治体制)からの脱却」を唱えて登場した安部内閣が戦前回帰としか思えないような極端な反動政策を繰り広げているということです。
安倍政権は、マスコミ各社の長と会食を重ね、抱き込み、公共放送NHKの会長を「報道が反原発に偏っている」「歴史認識が自虐的」と人事に介入したり、次々と各省庁に介入して既定の人事をひっくり返し、イェスマンで周りを固め、「特定秘密保護法」で国民の批判を抑え込みながら「大日本帝国」への回帰を実現する諸法案を整備してゆこうとしています。
今夏のオスプレイの普天間・岩国基地への配備、10月の「あいば野演習場における日米共同軍事演習の強行」京都-経ヶ岬での「米軍Xバンドレーダー基地建設」(関西初の米軍基地建設)そして、国会においては「特定秘密保護法」・「国家安全保障会議の設置」「集団的自衛権の法制化」へと突き進んでいます。この一連の反動攻撃は「日米防衛協力のための指針」に沿ったものであり、日米安保を軸とした戦争のできる「積極的平和主義」の実現です。
更に次の目標は憲法96条の改悪を目指して、最終的には平和憲法九条の放棄と憲法改正を狙っていることは明らかです。それに連動して現教科書から先の戦争記述が削所され、教科書検定の強化・国定化、道徳教育の義務化が「国土強靭化」と一体となって進められています。歴史の偽造、侵略の否定は93年の「慰安婦」問題での河野談話、95年「先の戦争への反省」を公式に表明した村山談話の否定となってあらわれ、この行き着く先は差別・排外主義イデオロギーを持ってする天皇元首化の国民統合といえます。戦争する国家です。
また、アベノミックスで語られている、「強い日本、強い経済、豊かで安全・安心な生活」(2013年6月閣議決定)は大企業、資本家の肥大化とそれらを通じて、アジアに経済的、軍事的覇権をもくろみ、国内的には「努力したものに報いる社会」「自立する個人」とあからさまな自己責任論提唱し、「分配」から「富の創出」へ、すなわち社会的「弱者説捨て」と社会保障制度の大改悪・資本家優遇へと突き進んでいくのです。緊張を増す原発再稼動・輸出の動きもまたこれらと緊密に関連し「経済成長」の基本部分としてされています。
越冬闘争は一貫して「一人の餓死・凍死者も出すな」を合言葉に闘われて来ました。それは釜ヶ崎の運動が「反失業」「就労・労働を獲得する」事を闘いの核心としてきたことに連動しています。その過程でNPO法人を立ち上げシェルターを作り、公的・社会的就労の萌芽というべき、高齢者特別清掃事業を継続してきました。
しかし今この事業は、アベノミックスという新自由主義の「経済成長」で大きな岐路に立っています。公的・社会的価値を創出する就労は、安倍政権の「労働生産性」を基準とすれば切り捨ての対象とならざるを得ません。更に「財政規律の厳格化」とは社会保障制度では公的扶助の削減と受益者負担の増加であり、したがって公的資金を雇用に投入することは、基本的な矛盾という考えになります。「企業利益の拡大と」「雇用・賃金の上昇」と「消費・需要の拡大」による「経済の好循環」が「経済成長」というのであれば、雇用の機会を奪われ長期失業や野宿を余儀なくされた労働者は、必然的にその「好循環」の外へと追いやられます。
また安倍は「自助・自立を第一に、行き過ぎた雇用維持型から労働移動支援型へ大胆な政策転換」を雇用対策の柱とするとも述べている、「行き過ぎた雇用維持」とは「解雇事由」をその内容としており、「労働移動」とはより生産性の高い、言い換えれば資本家の儲かる産業への「労働移動」を意味しています。
ここでも、新たな排除が生まれるでしょう。「自助・自立」とはあいも変わらず、民間労働市場への雇用による「自立」であり「自助」とは「自己責任」といっているに過ぎません。
今問われていることは、この日本で毎年何故70人以上もの人が餓死し、働いても食っていけない労働者層が1千万人も居るのか、法令無視、労働者をゴミのように扱うブラック企業が横行するのか、なぜ失業の長期化が働く意欲剥ぎ取り、失業統計にもカウントされない若者が増加するのか。そして野宿者襲撃がなぜ後を絶たないのかです。
安倍政権は「失われた20年を」「インフレ2%目標・増税・社会保障費削減」で「日本経済の再生」と謳っています。ですが、これで潤うのは一握りの大企業・資本家にすぎません。「膨大な貧困層と一握りの富裕層」これが安倍政権の目指す「誇れる日本」の姿です。
西成特区構想と生活困窮者支援法
西成特区構想についてですが、2012年から開始された「有識者座談会」は西成の各界の人々との議論を深めてその姿を具体的に表しつつあります。そこでは「人を呼び込む街づくり」「西成の特徴を生かしたまちづくり」等が議論されてきました。それは2013年の区予算にも反映されています。しかし我々の立場からすれば、中心となる軸が「医療・福祉」「子育て支援」「治安の改善」「不法投棄の取り締まり」となっており、肝心な「就労」の問題が後景に押しやられている感は否めません。構想で言う「短期集中的な対策」(2013年9月)を見ても、「釜ヶ崎と就労」に関する事業は14事業中1事業のみであり、それも「高齢単身者生活保護」が対象と言う「規制」がほどこされています。「中長期的対策」では、就労にかかわる事業は全く議論されていません。
「西成の問題」はその失業率において(保護率23,5%)でも明らかなように、「失業と貧困」の問題であり、釜ヶ崎はその集中的表現です。そうであるとすれば、やはりこの街の就労をいかに作っていくのか、これに応えなければ「特区」の意味がありません。具体的に特別清掃事業の週3回、月13日に拡大し、同時に55歳以下の公的・社会的就労の仕組みを作るべきで、この施策を議論せずして「稼働年齢層の生保受給」を「問題」として語ることは出来ないのです。
最後に今国会で審議されている「生活困窮者自立支援法」に関してですが、反貧困を闘う様々な団体から意見が出されていますが、今言えることは「生活保護法の改悪」とこの「支援法」を連動させ、「他方優先」に利用させてはならないと云うことであり、その主旨で言う「最低限度の生活を維持できなくなる可能性のある」を対象としている点で、その運営基準の曖昧さ・不鮮明さに危惧を表明せざるを得ません。
これらのことを念頭に置きながら第44回越冬闘争を闘い抜きましょう!
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第44回釜ヶ崎越冬闘争スローガン安心して働き・生活できる釜ヶ崎を創ろう!
☆ 越冬闘争を闘うぞ!
仲間から餓死・凍死者を出さないぞ!
野宿の仲間への襲撃を許さないぞ!
☆ 野宿をさせるな!
特掃の拡大・週3回を実現しろ!
社会的就労、公的事業で年齢制限のない仕事をだせ!
稼動年齢層の生保受給者に仕事と技能訓練を充実しろ!
高齢生保受給者への生きがい事業を創れ!
原発再稼動は許さんぞ!
全ての労働者を被爆させるな!
改憲策動絶対阻止!排外主義を許すな!
☆ 正規・非正規労働者の団結を創るぞ!
全国・全世界の労働者、非抑圧人民と連帯して闘うぞ!